生成AIの進化が著しい昨今、多くの制作会社が記事作成にAIを活用し始めています。しかし、ことインタビュー記事の作成となると、文字起こしツールの活用に留まっている制作会社も多いのではないでしょうか。
今やAIを使いこなせば、インタビューの準備から記事の作成まで効率化できます。この記事ではインタビュー記事作成にAIを活用するメリットや注意点のほか、おすすめのAIツールを紹介していきます。
AIツールを使いこなして、短時間で高品質なインタビュー記事を作成しましょう。
質問作りから文章作成まで。インタビュー記事におけるAI活用のトレンド
数年前からAI活用が進むSEO記事作成に比べ、手作業が多く残るインタビュー記事。文字起こしツールの登場は記事作成を大きく効率化してくれましたが、それ以外の作業を全て手作業で行っている制作会社も少なくないでしょう。
取材企画を作るための調査から質問作り、インタビュー後には文字起こしを見返しながら初稿を作成し、編集を繰り返していく。全ての工程に10時間以上費やすことも珍しくありません。
しかし、AIをうまく活用すると、半分の時間で同じクオリティの記事を作成することが可能です。むしろ、AIを使いこなすことで、これまでよりも質の高い記事を作れる可能性もあります。
特に近年は、記事作成に特化したAIツールも数多く登場しており、文字起こしの内容から重要な発言を抽出して、記事を作れるようになっています。各業界で「プロ向け」のAIツールが登場しているように、プロのライター向けのAIツールが注目を集めているのです。
AIツールの登場は、プロの編集者やライターの存在意義をかすめるものではなく、むしろプロのスキルをより輝かせるものとなるでしょう。
インタビュー記事を生成AIで書く方法7Step
早速、生成AIを活用してインタビュー記事を作成する方法を7つのステップで見ていきましょう。今回は、OpenAIの生成AIツール「ChatGPT」と、LINE CLOVAの音声認識AIアプリ「CLOVA Note」を使い、Xarisの活用インタビューの音源から事例記事を作成する過程を紹介していきます。
Step1.質問案を作成
まずは「ChatGPT」にインタビューの質問案を作ってもらいます。以下のようなプロンプトをChatGPTに入力し、返答させます。
あなたはプロの編集者です。AIライティングサービスXaris(カリス)ユーザーにインタビューをして、活用事例記事を作るため、質問案を作ってください。メインの質問を10個、それを深掘りするためのサブ質問をそれぞれ2つずつ考えてください。
Xaris:https://site.xaris.ai/
通常なら5~7個の質問があれば十分ですが、全ての質問が使えるとは限らないため、多めに質問を作ってもらいます。
なお、ChatGPTの返答の中には日本語がおかしな部分もありますが、Google Docsなどにコピペすると、正常な日本語になっていることもあります(プロンプトも入力した瞬間に、崩れることがあります)。
Step2.インタビュー音声の文字起こし
インタビュー後の文字起こしもAIにしてもらいます。従来なら、何時間もかけて文字起こしをするか、外注していた会社も多いはずです。文字起こしツールを使えば、ものの5分で文字起こしが完了するため、コストも時間も大幅に削減できるでしょう。
ChatGPTには文字起こしの機能はないため、別途文字起こしツールを活用します。今回はLINE CLOVAが提供している「CLOVA Note」を活用しました。
LINEアカウントがあれば、無料で月に600分まで利用できるため、大抵の人は十分だと思います。文字起こしの精度も有料ツールに劣りませんし、話者識別機能もあるため、AIに記事を作成してもらうにも問題ありません。
ホーム画面から左上の「新しいノートを作成」をタップし、音源をドラッグ&ドロップします。以下のように音声の種類を選択する画面が出てくるので、「インタビュー・相談」を選択し、アップロードすれば文字起こしが始まります。
文字起こしが完了したら、右上の「点が3つのボタン」を押して「音声記録ダウンロード」をクリックします。このデータを活用してAIに記事を作成してもらうため、念のためダウンロードする前に「参加者1・2」をクリックして、名前を登録しておくといいでしょう。
Step3.文字起こしデータから構成を作成
文字起こしが完了したら、その内容をもとに構成を作成していきます。
これまでなら、マインドマップなどを活用しながら、発言をテーマ別にまとめて、読みやすい順に整理していた人も多いでしょう。
AIを活用すれば、その作業も短時間で終わらせることができます。まずはStep2でダウンロードした文字起こしデータをAIに読み込ませ、どんな話題があったのか抽出してもらいましょう。ちなみに文字起こしデータの読み込みには、大量のメモリが必要なため無料版では利用できません。これ以降の作業をしたい場合は、有料版の生成AIツールを利用しましょう。
内容を抽出したら、それを記事にするために順番を整理してもらいましょう。今回は過去の活用事例記事も参考にするよう指示を出しました。
Step4.構成をもとに初稿作成
構成ができたら、AIに文章の作成までお願いしてみましょう。今回はインタビューの質問に答える形で、返答を考えてもらいました。2つ目の質問からは、質問文を打ち込むだけで同じように文章を生成してくれます。
あとは、構成に沿って、これを繰り返していけば初稿の完成です。
Step5.【重要】AIが作った初稿を編集
AIツールは当然ながら完璧ではありません。どんなに細かく指示をしても、今の技術ではインタビュイーの個性を反映した生き生きとした文章を作れないでしょう。AIに作ってもらった文章を、必要に応じて推敲していくのが腕の見せどころです。
インタビュイーの言葉の裏にある感情や、取材時に感じた人間性を文章に織り込みながら、丁寧に記事を作成していきましょう。AIはたしかに便利な道具ですが、どんなに記事作成が楽になっても、最終的な記事に魂を吹き込むのは人間であることを忘れてはなりません。
Step6.見出し・タイトル作り
本文が完成したら、見出しとタイトルづくりもAIにサポートしてもらいます。各見出しごとの文章をAIに読み込ませ「見出しの候補を◯個作成してください」と打ち込んでみましょう。特に注目してほしい観点などもあれば、それを追加することでよりイメージに合った見出しを提案してくれます。
ちなみに今回は、このような見出しを考えてくれました。
時には秀逸な見出しを提案してくれますが、基本的にはAIが考えてくれた見出しは「土台」です。アレンジを加えたり、いくつかの見出しを組み合わせながら、最終的には人が考えなければなりません。それでもゼロから頭をひねるよりは、負担を何割かは減らせるでしょう。
最後は同じようにタイトルも提案してもらえれば、記事の全文が完成です。ちなみに生成AIにはChatGPTのほか、GeminiやClaudeといったツールもありますが、それぞれ生成する見出しやタイトルも全く違います。気に入った見出しを生成してくれないときは、他のAIを活用するのも一つの手。AIによって文章の作り方や見出しの作り方にクセがあるので、それぞれ自分にあったAIを決めておくのもいいでしょう。
Step7.推敲・校正
出来上がった記事の確認もAIに任せることができます。AIで誤字脱字をチェックすれば、その負担を大きく減らせるだけでなく、ツールによってはよりよい表現を提案してくれることもあるため、記事の品質向上にも役立ちます。
ちなみに、今回発見してくれた誤字脱字は以下の通り。完璧ではないかもしれませんが、全て人がチェックするよりはミスを減らせるはずです。
以上の作業により、インタビュー記事を効率よく制作することができます。完成した記事については、下記をご覧ください。
生成AIをインタビュー記事作成に活用するメリット
生成AIを活用するメリットは多々ありますが、代表的なものとして以下の3つが挙げられます。
記事作成の時間を短縮できる
最も大きなメリットは、作業時間を大幅に短縮できることです。インタビュー記事の作成は、取材準備から文字起こし、原稿執筆まで多大な時間と労力を費やし、従来は1日かかることも珍しくありませんでした。しかし、AIを活用することで、これらの工程を数時間程度に短縮できます。
時間の有効活用は、より多くの取材や記事制作を可能にし、執筆者の生産性を大幅に向上させてくれるでしょう。また、文字起こしなどの負担の大きな作業から解放されることで、より創造的で付加価値の高い作業に集中できるようになります。
質の高い取材準備が可能になる
AIは単に作業効率のためだけのツールではありません。うまく活用することで、記事の質も高められます。たとえば取材の準備段階では、自分の視点にはなかった角度からの質問を提案をしてもらうことで、より質の高いインタビューが可能になるでしょう。
また、取材のための情報収集においても、AIを使えば効率的に情報収集できます。自分では思いもよらなかった関連情報を見つけられることもありますし、マインドマップなどにまとめてもらうことで、情報を整理しながら取材準備を進められるでしょう。
壁打ちによって記事の質を高められる
記事作成においても、AIは強力なパートナーになってくれます。「AIに文章作りなんて任せられない」と思う人も多いかもしれません。たしかにAIを一人前のライターだと思ってしまうと、生成する文章も出来が悪いように感じますが、あくまで記事制作をサポートしてくれる良き壁打ち相手と思ってみてはどうでしょうか。
一人で悩みながら記事を作るよりも、AIに相談しながら記事を作ることで、負担も低減できますし結果的に質の良い記事ができるはずです。
インタビュー記事作成に生成AIを活用する注意点と対策
AIはライターにとって便利なツールですが、活用するには注意点が存在します。対策とともに見ていきましょう。
AIツールに依存しない
最も大きな注意はAIツールに依存しないことです。AIはたしかに便利ですが、AIツールの利用は記事を作るための手段にすぎません。AIツールに依存すると、本来人が担うべき作業を怠りがちになってしまいます。
対策としては、AIを活用する手順と、人が担うべき作業を整理しておくこと。初期の情報収集や構成案の作成はAIに任せられますが、最終的な編集は人が手を加えなければなりません。特に組織で記事を作る際には、どこでAIを活用するのか共有しておくと良いでしょう。
AIツールの活用方法を学ぶ必要がある
AIに頼りすぎるのはいけませんが、AIを使いこなすための学習は必要です。AIは使い方によって、アウトプットの質が大きく変わります。AIの学習をせずに「AIは使えない」と憤るのはもったいないことです。
少なくとも、効果的なプロンプトのルールについては一通り学んでおきましょう。基本的なプロンプトを覚えるだけなら数時間で十分ですし、記事作成以外の業務にも応用できるので、覚えておいて損はないでしょう。
自分たちに合ったツールを選ぶ
今や文章を作成してくれるツールは多岐にわたり、どのツールを選ぶかでアウトプットの質も大きく変わります。また、ツールはそれぞれ料金が異なるため、自分たちの予算にあったツールを選ぶのも重要です。
最も単純なツールの選び方は「汎用的なツール」か「ライター向けのツール」です。汎用的なツールは記事作成以外にも利用できるのが利点ですが、いい文章を作るには使いこなすためのテクニックが必要になります。一方でライター向けのツールは、記事作成に特化しているため、複雑なテクニックを使いこなす必要もありませんし、かゆいところに手が届く機能が満載です。
本格的に、記事作成を効率化したいのであれば、断然ライター向けのツールがおすすめです。
【プロが注目】インタビュー記事制作に使える生成AIツール6選
最後に、プロが注目する生成AIツールを紹介します。
Xaris:プロライターのための記事作成ツール
出典:Xaris
Xaris(カリス)は、プロのライター向けに開発された高度な記事作成AIツールです。 日本語での文章生成に強みを持ち、文字起こしからインタビュー記事の構成案から文章修正まで、記事制作の全工程をサポートしてくれます。
日本語の文字起こしの精度も高い上に、話者を識別してくれるため、記事作成時にも大きく役立つでしょう。文字起こしから、そのまま校正作り、文章作りまで一貫して行えます。ライターのために開発されたツールなため、記事制作に長く携わってきた人ほど使いやすいと感じるでしょう。
サービス名 | Xaris |
特徴 | ・プロライター向けに特化した記事作成AIツール・日本語に高い親和性を持つ・記事執筆のワークフロー全体をサポート・専門的な文章生成に強み・GPT・Gemini・Claudeの3種類の言語モデルを切り替えながらライティングできる |
機能 | ・インタビュー音源の文字起こし・インタビュー記事の構成案自動生成・記事の校正と推敲・キーワードに基づく記事フレーム作成 |
おすすめの人 | ・質の高い文章を求めるプロの人・文章を細かく調整しながら記事を作成したい人 |
料金 | 無料トライアルあり(20リクエストのみ)・STARTERプラン:1,980円/月・ADVANCEプラン:5,980円/月・PROプラン:19,800円/月・BUSINESSプラン:要問い合わせ |
公式URL | https://site.xaris.ai/ |
ChatGPT:質問生成から文章校正まで対応する万能ツール
出典:ChatGPT
最もメジャーな生成AIの一つでもあるChatGPT。記事作成時には、自然言語処理技術を活用し、流暢で読みやすい文章を生成してくれます。その利用用途は広く、使い方によっては取材概要から文章の構成までオールマイティーに対応してくれるでしょう。
ただし、音源の文字起こし機能がないため、別途文字起こしツールを組み合わせなければなりません。スムーズに音声で対話できる機能もあるため、簡単なインタビューであれば、インタビュー自体を代行してもらうことも可能です。
サービス名 | ChatGPT |
特徴 | ・自然言語処理技術を活用し、流暢で読みやすい文章を生成・インタビュー対象者の個性を反映したトーンやスタイルを選択可能 |
機能 | ・質問作成、回答要約、記事構成提案など多様な機能を提供・関連情報や背景知識の補足が可能 |
おすすめの人 | 幅広い業務にAIを活用したい人 |
料金 | 無料版あり・Plus:20ドル/月・Team:25ドル/1ユーザー/月(年払い)、30ドル/1ユーザー/月(月払い)・Enterprise:要問い合わせ |
公式URL | https://chatgpt.com/ |
Claude:日本語の扱いに長けたAIツール
出典:Claude
Claudeは、人間らしい対話を重視したAIツールで、インタビュー記事作成においても優れた性能を発揮します。海外のサービスながら、日本語の文脈理解に優れ、自然な会話形式での応答が可能なため、インタビュー対象者の意図や感情を的確に捉えた質問や回答を生成してくれるでしょう。
また、インタビューの質問を自動生成し、得られた回答を整理・要約する機能も備えており、効率的に記事を構成できます。文字起こし以外の機能が十分に備わっているため、インタビュー記事作成の大きな武器となるでしょう。
サービス名 | Claude |
特徴 | ・人間らしい対話を重視した設計・文脈理解に優れた自然な会話生成・インタビュー形式に適した応答スタイル |
機能 | ・インタビューの質問生成・回答の整理と要約・文脈に基づいた情報提供 |
おすすめの人 | 対話形式のインタビューを重視する人 |
料金 | 無料版あり・Pro:20ドル/月・Team:25ドル/1ユーザー/月(年払い)、30ドル/1ユーザー/月(月払い)・Enterprise:要問い合わせ |
公式URL | https://claude.ai |
SAKUBUN:プロンプトの知識がなくても高品質な文章を作成可能
出典:SAKUBUN
SAKUBUNは、マーケターのためのAIライティングツールで、特に短文作成に強みを持っています。インタビュー記事作成では、質問作成や短い回答の生成が得意で、アイデア出しをサポートする機能も充実しています。
シンプルなインターフェースにより、初心者でも使いやすく、短時間で簡潔なインタビュー記事を作成したい人に最適です。
サービス名 | SAKUBUN |
特徴 | ・簡単に文章を生成できるインターフェース・短文作成に特化した機能・アイデア出しをサポートする機能 |
機能 | ・質問作成機能・短い回答の生成・アイデア出しやブレインストーミングの支援 |
おすすめの人 | ・マーケティング業務全般を担っている人・短いインタビュー記事作成が多い人 |
料金 | 法人のみ無料トライアルあり(5日間)・Personal:9,800/月・Light:要問い合わせ・Standard:要問い合わせ・Enterprise:要問い合わせ |
公式URL | https://sakubun.ai/ |
Rytr:シンプル操作で高品質なコンテンツを生成する
出典:Rytr
Rytr(ライトル)は、多様な文体で文章を生成できるAIツールで、インタビュー記事作成においても柔軟な対応が可能です。ユーザーのニーズに応じたカスタマイズ機能を備え、質問作成や記事の構成、トーン調整が行えます。直感的なインターフェースで初心者でも簡単に使えるのも特徴です。
サービス名 | Rytr |
特徴 | ・多様な文体での文章生成が可能・ユーザーのニーズに応じたカスタマイズ機能・簡単に使えるインターフェース |
機能 | ・質問作成機能・記事の構成とトーン調整・アイデア出しやブレインストーミングの支援 |
おすすめの人 | ・さまざまなスタイルでインタビュー記事を作成したい人 |
料金 | 無料版あり・Unlimited:7.50ドル/月・Premium:24.16ドル/月 |
公式URL | https://rytr.me/ |
文賢:文章の質を高めるためのサポートツール
出典:文賢
文賢は、日本語に特化した文章の推敲・校閲ツールです。初稿が出来上がった後に、よりわかりやすく読みやすい文章にするためのアドバイスをしてくれます。ゼロから文章を作成してくれるわけではありませんが、記事の質を効率よく高めるために貢献してくれるでしょう。
サービス名 | 文賢 |
特徴 | ・日本語に特化した自然言語生成・読みやすく自然な文章を生成・日本の文化や文脈に配慮した内容 |
機能 | ・質問作成機能・文章の校正と修正・記事の構成提案 |
おすすめの人 | 読みやすくわかりやすい文章に推敲してほしい人 |
料金 | 初期費用:10,800円ライセンス購入費用(4ライセンス以下):1,980円/ライセンス※5ライセンス以上の場合は、ライセンス数に応じてまとめ買い割引あり |
公式URL | https://rider-store.jp/bun-ken/ |
まとめ:生成AIを活用して質の高いインタビュー記事を効率よく作ろう
生成AIを活用すると、これまで時間がかかりがちだったインタビュー記事の制作を短時間で作れるようになります。プロンプトを工夫すれば、より高品質な内容に仕上げることもできるでしょう。
昨今は、生成AIの台頭から、経験や知見を盛り込んだオリジナルなコンテンツが求められており、インタビュー記事の需要がこれまで以上に高まると予想されます。弊社のクライアント様からも、SEO記事よりインタビュー記事の制作依頼が増えてきたという声をしばしば聞きます。
弊社が提供するライティングアシスタントツールXarisは、音源から文字起こし、そして記事制作まで一気通貫で行うことができます。具体的な使い方についての説明会も実施しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。